最近「チェンソーマン」がアニメ化され、今日本で一番人気上昇中の漫画家と言っても過言ではない藤本タツキ。藤本タツキさんが「チェンソーマン」を出す前に出していた、初めての中長編漫画が「ファイアパンチ」です。
ジャンプ+で連載されていました。
カテゴリとしてはダーク、ファンタジー、アクションに入ると思います。
あらすじ
「氷の魔女」によって雪と氷に覆われた氷河期となった地球が舞台。
人間の多くは「祝福者」として特殊能力を持っていた。
主人公のアグニと妹は「体が再生する」能力を持つ祝福者であった。
ある日、アグニの住む村が侵略者によって襲われ、「消えない炎」を持つ祝福者によって、自分も妹も村も全て焼かれてしまった。
しかし、アグニは強すぎる再生能力によって焼かれながら何年も生き続けていた。
そんなアグニの復讐劇が始まる・・・。
あらすじはこんな感じ。
感想
「ファイアパンチ」は最初に読んだ藤本タツキ作品でした。
単行本1巻が発売されたときに人から勧められて、かっこいい表紙だなーと思いながら読み始めました。
最強の1話目に衝撃を受けたのを覚えています。
「これ、本当にジャンプ?」と、単行本の背表紙についていた水色の「JUMP COMICS」の文字があまりにも似つかわしくありませんでした(これは後に出る「チェンソーマン」でも同様の感想を持つことになりますが)。
1話目でパンチを食らって、そこから更に漫画として「王道ではないのにめちゃくちゃおもしろい」というパンチを食らい続けます。
藤本タツキさんと「無限の住人」や「バカボンド」で有名な沙村広明さんとの対談で
「漫画を一通り読んできて、普通の漫画では満足できなくなってきた人がたどり着く本」
みたいなことを言っていたんですが
まさにその通りな漫画でした。
漫画全体がもつ独特の空気感と、意味がわからない方向に裏切られる展開、登場人物のほとんどが狂気的な思考の持ち主で。
少なくとも「漫画を読み始めた子に最初に勧める本ではないな」というのはあります。
王道ではない、意味がわからない方向に裏切られる展開、登場人物のほとんどが狂気的な思考の持ち主、普通じゃない漫画
という一見すると「めちゃくちゃ」にもかかわらず、面白いのは
登場人物の思考や行動にちゃんと一貫性があり、物語としての設定に無駄がなく統一感があるからだと思います。
主人公たちが「一番大事にしているもの」と「一番苦しめられているもの」がそれぞれ明確にあるから
人間としての一貫性が出やすいのだなと。
「一番大事にしているもの」とか「好きなもの」がわかりやすいというのは、物語の設定としてよくあるけれども
「一番苦しめられているもの」がはっきりしていることも、実は人間ドラマを作る上で面白さを作り出すファクターの一つだと思います。
藤本タツキさんって映画好きとしても有名なのですが、話の作り方とか、キャラの書き方、見せ方、切り取り方が「映画っぽいな」と思うことが多々あります。
「映像として見せたらめちゃくちゃかっこよさそう」というコマ割りがすごく多い。
そういう面は「チェンソーマン」でさらに洗練されている感じがします。
関連オススメ漫画
ファイアパンチが好きそうな人にオススメの漫画です。
- チェンソーマン
今、大人気の漫画「チェンソーマン」。悪魔をテーマにしたダークアクションもの。ファイアパンチよりは「ジャンプらしさ」いわゆる「少年漫画感」がちゃんと出ていると思いますが、やはり藤本タツキ。個性的な絵、内容、キャラ、展開です。
漫画も大好きですが、アニメも素晴らしいです。
- ルックバック
藤本タツキ作品。クリエイター全員に響く話。努力とは何か、才能とは何か、ものづくりをする人間全員に刺さる話。
- さよなら絵梨
藤本タツキ作品。「映画」をテーマに独特の空気で進んでいく、なんとくくっていいかわからない作品。「見せる」って何なのか考えさせられる。
- ダンダダン
「ファイアパンチ」で作画アシスタントをしていた龍幸伸さんの作品。1話目から漫画としての完成度がものすごく高い。
- 地獄楽
こちらも「ファイアパンチ」で作画アシスタントをしていた賀来ゆうじさんの作品。
和的なテイストで異能力バトルって「鬼滅の刃」に通ずるものがありますね。
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